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「ブチ切れたカラス」に飛び蹴りされかけた研究者…一線を越えたきっかけは誰もがやりかねない"あの行動"だった

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カラス 攻撃 研究者
カラスは何に怒った?(イラスト:タナカケンイチロウ)
  • 松原 始 動物行動学者、東京大学総合研究博物館・特任准教授
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雛が飛び立つなり、親のところに来た。そして餌をねだり始めた。言うまでもなく、その場所は私の頭上。ヤバい、と思った瞬間、親ガラスが「ガララッ!」と声をあげた。

これについては私にも言いたいことがある。私が近づいたのではない、雛の方からこっちに来たのだ。責任は向こうにある。だが、カラスにそんな理屈は通用しない。雛の近くに危険そうな大型動物がいたら、即座に追い払うだけだ。

雛を連れたカラスの親鳥は神経質だ。人間で言えば、よちよち歩きの幼児を連れているようなものである。しかも、野生動物の世界は厳しい。世間知らずで身体能力も低い雛は、ネコにすら捕食される恐れがある。

まして、人間のような「巨大な」動物は要注意なのだ。ハシブトガラスの全長は50センチ以上、翼を広げると1メートルにもなるが、体重は重くても900グラム。大概はもっと軽い。カラスにとって、人間は100倍ほど体重のある相手なのである。

ここは急いで離れた方がいい。離れれば防衛圏内から外れる。カラスは雛を守っているのだから、雛を放り出してまで延々と追いかけてくることはない。そもそも、ここから縄張りの端まで50mほどだ。その外まで追ってくることもない。

私が一線を越えてしまった瞬間

そこまでわかっていながら、私はつい、「いやいや、こんな近距離に雛が来たのだから」と、カメラを向けてしまった。

どうやら、これが一線を越えた瞬間だった。

ドスの利いたガラガラ声で威嚇していた親ガラスが、止まっている電柱を嘴で叩き始めた。これはかなりフラストレーションがたまっている。止まっているのが樹木なら、葉っぱや枝をちぎって投げ捨てているところだ。これは本当に危ないな、と思って、背を向けて立ち去ろうとした、その時――冒頭に書いたように、背後から突進されたわけだ。一瞬、頭をかすったほどの際どさだった。

これがカラスによる攻撃である。厳密にはまだ威嚇なのだが、頭を下げていなければ飛び蹴りを食らわされていたかもしれない。

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