ここで重要なのは、平均年齢33歳という数字が弱点ではなく、むしろ武器になっているということだ。これまでの男性アイドルシーンでは、若さゆえの未成熟さや純粋さが大きな価値を持っていた。しかし、現代の人々が求めているものはそれだけにとどまらない。社会全体で「何歳からでもやり直せる」という考え方が出てきている中で、若くて美しいだけの存在よりも、人生の遠回りを経て、それでも人前に立とうとする存在を評価する人が増えている。
モナキのメンバーには、遅咲きならではの余裕や落ち着きがある。人は完璧なスターを見たい一方で、自分の人生と地続きにあるスターも見たい。彼らのファンは「かっこいい」と思うだけではなく、「この人たちに売れてほしい」「ここから人生が変わってほしい」と感じている。
男性アイドル市場の変化
そんな異色のグループが急速に台頭した背景には、純烈が中高年向け男性歌謡グループという市場を開拓したことだけでなく、旧ジャニーズ事務所の崩壊後に起きた男性アイドルシーンの構造的な変化もある。
長年、日本の男性アイドル市場は、事実上ジャニーズ事務所を中心に回っていた。もちろん、ほかの芸能事務所にも男性の歌手やダンスグループは存在した。しかし、「男性アイドル」という言葉から多くの人が思い浮かべる標準形は、ジャニーズ事務所によって作られていた。
少年期に事務所へ入り、歌やダンスや芝居を学び、先輩のバックで経験を積み、グループとしてデビューする。この育成システムとメディア展開の型はあまりにも強固であり、長い間、日本における男性アイドルの理想像そのものになっていた。
ジャニーズ事務所は芸能界のさまざまな領域にまたがる巨大な影響力を持ち、男性アイドル市場を事実上独占して、コントロールする立場にあった。そのため、ジャニーズ的な型から外れた男性アイドルがメジャーシーンで活躍することは困難だった。
しかし、創業者の性加害問題によって旧ジャニーズ事務所が解体され、その絶対的な権威は失われた。テレビ局や広告会社は、自らのキャスティングや取引慣行を見直す必要に迫られることになり、さまざまな形の男性アイドルが出てくる土壌ができた。男性アイドルの「型」が1つに縛られることはなくなった。

