マッシュルームヘアが提示した自由な美意識
人種だけでなく階級や世代によって分断されていた音楽を、誰もが境界なく楽しめるオープンな文化へと広めていった。
また、当時の「男らしさ」の固定観念を揺るがすマッシュルームヘアは大人たちから批判されたが、外見の境界線を曖昧にすることで、性差にとらわれない自由な美意識(かっこよさ)を世界中の若者に提示してみせた。
これらはすべて、怒りや暴力ではなく、彼らならではの平和的な「NO」の突きつけ方は、多くの若者の心に火を灯した。
ビートルズの打ち出すメッセージは、あらゆる壁を溶かし、世界を網羅する電波に乗り、気持ちのいい音とリズムでもって若者を求心してひとつにつなげた。そして、内からあふれるエネルギーを鼓舞させ、それがのちの平和運動や学生運動といった大きなうねりへと昇華していく。
岡本さんもまた、その新しくも激しい風に心揺さぶられたひとりというわけだ。
その後「ビートルズの素晴らしさを後世に伝えたい」という思いを強くしていった岡本さん。50年後の2016年5月、兵庫県赤穂市に「ビートルズ文化博物館」を開設してしまうのだ。後編は、ビートルズエバンジェリスト(伝道師)の岡本さんがたどった軌跡を紹介する。


