ただし、計算問題だけができればいいわけではないと原田さんは語る。基礎的な計算力がついていない子がいる一方で、中学・高校の数学を「大学受験のための勉強」と捉える人も多いと指摘する。
「日本の子どもは計算問題ができても文章題ができないと言われています。というのも、日本では『中学・高校の教育は大学受験のためにある』と思っている人が多く、点数を取ることが優先されてきました。
受験でも学校の定期試験でも計算ができればそれなりに点数が取れますし、点数が高いといい、低いとダメという価値観が根強くありました。けれど、それでは『計算で正解を出せればそれでいい』と思ってしまい、その後の学びにつながりにくいのでは」と原田さんは危惧する。
「習った方法だけ」は本当に生徒のため?
受験を優先した数学指導への疑問はほかにもあるという。
「数学には定理がいろいろありますが、教科書に載っていないものもあります。中には、大学受験を意識して『教科書にない解き方はしないように』と指導する教員もいます。試験で減点になるリスクを減らすためですが、大学では『高校教科書に載っていたかどうかより、正しいかどうか』『定理を使って必要なことを調べられるか』のほうが重要になります。
『教わったことしかやらなくていい』と教えられた生徒は自発的に行動しなくなるでしょう。社会に出ても、『その仕事のやり方は教わっていません』と言うようになるのではないでしょうか」
だからこそ、「基礎的な計算能力をしっかり身につけたうえで、数学の理論や意味を理解できるような教え方が必要だ」と原田さんは考えている。
