「高校では74単位を修得すれば卒業できます。つまり、ある程度の点数が取れていれば卒業できるというわけです。学習意欲やテストの点数が基準に達していることが求められますが、この基準は学校が決めるもの。そのため、小学校レベルの計算能力がないまま高校を卒業し、社会へ出ることもありえるのです」
だからこそ、「小学校の段階ではひたすら計算能力を身につけるべき」と原田さんは語る。小学校で習う計算ができないと、中学・高校の数学の授業についていくのが難しくなる。
「今は探究学習やPBL(課題解決型学習)などがさかんに行われていますが、まずは計算能力ありき。基礎をしっかり固めることを軸に据えるべきです」
では、小学校で習う計算もおぼつかないまま高校生になった生徒に対し、原田さんはどう対応しているのだろうか。
「授業の最初の数分間で整数の足し算・引き算、分数の足し算・引き算を行ったうえで、通常の授業を行っています。50分しかない授業時間の数分を小学校の計算に使うのは厳しいですが、やるしかありません。大学の先生とお話しすると、大学でもこれと同じようなことが起こっているようです」
中高の数学は「受験のための勉強」になりがち
課題もある。同じクラスに、小学校レベルの計算能力が身についていない生徒と、大学進学を希望する生徒が混在している場合があるのだ。
「学習指導要領はあくまでも方針で、教える範囲は学校の裁量で決めることができます。教科書は全部教えなければいけないわけではありませんが、1年生で習う公式を2年生の数学で使うこともありますから、教えるべき内容はたくさんあります。
そのため、小中学校の持ち越しを解消しながら本来の授業を進めたいところですが、生徒全員が確実に授業を理解しているかを確認する余裕も持てないのが実情です」
