石川県能登での臨時災害放送局を題材としたNHK夜ドラ「ラジオスター」が2026年5月21日まで全32話、放映された。地震と豪雨で傷ついた町でラジオ局開き、地域住民と苦楽を共にし、叱咤激励を受けながら奮闘する。福地桃子演じる柊カナデの姿に、共感を抱いた人も多かったと思う。
このドラマで、災害時に地元に情報を伝えるラジオの重要性が注目された。一方、近年はラジオが家庭にない世代も多い。いわゆるスマホ世代にも愛される普及活動も必要だろう。事例を振り返りながら、放送局、地方行政、住民、技術者の連携のあり方を考えたい。
災害時におけるラジオの有効性
臨時災害放送局について解説する前に、災害時におけるラジオの重要性をおさらいしたい。ラジオ放送は今から100年ほど前の1923年に発生した関東大震災の教訓で、当初の開局予定を前倒しして全国に整備した経緯がある。
関東大震災では被災者間で流言飛語が飛び交い多くの悲劇も生んだと伝えられている。この教訓から、信頼性と即効性のある情報伝達手段が必要となった。そのため、1925年3月、現在のNHKの前身である東京放送局(JOAK)が「AMラジオ」放送を開始、そして全国に急速に普及した。
このラジオの信頼性と即効性は、2011年の東日本大震災においても十分に機能した。総務省が12年に発表した調査結果では、被災地である岩手、宮城、福島の3県で情報源の1位が「AMラジオ」の約60%、次いで「FMラジオ」であり、ラジオがテレビや携帯電話、インターネットなどよりも活用された。ラジオは安価で電池を入れれば聞くことができる貴重な情報源だったのだ。
しかし、東日本大震災から15年が経ち、新たな課題も浮上している。若年層の「ラジオ離れ」だ。2026年5月29日に公開された総務省の「通信利用動向調査報告書」によれば、ラジオ保有率は全体では33.6%(25年37.8%)だったが、若い世代ほど保有率は下がり、20代の世帯ではわずか5.6%(同6.3%)と、そもそも多数がラジオを持っていない状況である。
