日本企業および中国企業を投資対象とする投資ファンドのファウンダーである筆者は、高市政権下で日本の弱体化が進むことを懸念している。この2月には、解散総選挙で高市政権が大勝したことについて「中国エリートは高市政権の大勝を『歓迎』。日本の企業、技術、人材、ブランド、不動産が『弱体化させられている』現実を直視し、実利追求の戦略を」という記事を書き、警鐘を鳴らした。
日本の円の力は30年前の約3分の1にまで弱まり、主要通貨の中で「最弱通貨」に陥っている。5月に米中首脳会談が実施され、両国の投資や貿易が活発化していく方向感が見えてきた今、高市政権が突き進む方向に筆者はますます懸念を強めている。
本稿では「安い日本」が何をもたらしているのか、現実の一端を示したい。筆者個人や弊社のファンドが出資している香港のスーパーマーケットの物の値段から紹介しよう。
卸の現場で見える価格の落差
日本産の桃1玉の値段は日本円で約3000円(日本の平均的なスーパーの小売価格の約8~10倍)、トウモロコシは1本600円(同約3倍)、長ネギは2本600円(同2~3倍)、リンゴは1個800弱円(同約3倍)で並んでいるのに、現地では飛ぶように売れている。そして、筆者や弊社のファンドは大きな利益を出している。なぜなら仕入れ値が安いからだ。
これらの果物や野菜を仕入れている先は、ほかならぬ日本の農産物市場である。日本で安く仕入れ、中国やシンガポールで高く売る。逆ではない。氷菓ですら、中国で廉価品を仕入れるより、日本で仕入れて運んだほうが輸送費込みで安く上がる。日本の農産物の価格は、もともと極端に低く抑えられてきた。だから、近年のインフレで物価水準が上がっても、海外目線で見たら異常に安いのだ。
この記事は有料会員限定です
残り 2914文字
