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経済安保の観点から、自衛隊で非石油由来の原料を使った軽油やジェット燃料、艦艇用重油などの合成燃料を採用すべきだ。それは戦時だけではなく、アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃によって生じた、今回のような石油危機へのリスクヘッジとなる。わが国は石油の9割以上を湾岸から輸入している。それが止まって、今まさに大問題となっている。
多少コストがかかってもリスクヘッジは重要だ。また自衛隊が一定量を消費する前提であれば消費量が確保できて合成燃料のコストが下がり、一般でも使用できるまでコストが下がる可能性は高い。そうなれば日本全体として中東原油に対する依存度を減らすことが可能だ。
実用化へのコスト増を自衛隊導入で緩和する
合成燃料は石炭や天然ガスなど炭素と水素を有した原料からFT(フィッシャー&トロプシュ)法で生成された液体燃料である。これは、天然ガスから生成する場合はGTL(ガス・トゥ・リキッド)燃料とも呼ばれ、石炭を原料にする場合はCTL(コール・トゥ・リッキッド)燃料などとも呼ばれる。混乱を避けるために、ここでは合成燃料という呼称で統一する。
これらの方法では、サトウキビやトウモロコシを蒸留して生産されるバイオエタノールなども原料として使用が可能であり、多様なリソースから生産が可能だ。こちらもATJ(アルコール・トゥ・ジェット)などのSAF(持続可能な航空燃料)への最有力候補だ。このような合成燃料は自動車、艦船、航空機などに使用できるだけではなく、燃料電池の燃料としても使用が可能だ。
合成燃料は、石油由来の燃料より不純物が極めて少なく大気汚染が少ない。また最も大きな利点は、現在の石油由来の燃料を使用しているエンジンにそのまま使用して何の問題もないことにある。つまりバイオエタノールや水素、あるいは電気などの石油代替燃料と違って、ガソリンスタンドなどインフラを入れ替えるために大きな投資が必要ない。つまり実用化へのハードルが極めて低い。
合成燃料の歴史は古い。第2次世界大戦中に石油が欠乏したドイツは国内各地に合成燃料の工場を建設し、1944年にはドイツ軍の使用する燃料の57%、航空燃料に限れば92%が合成燃料であった(当時の航空機のレシプロ式エンジンはガソリンを使用していた)。わが国でも戦前にドイツから技術導入をして合成燃料の研究と生産を目論んだが、技術的な問題が解決できず、製造は予定の1割程度に終わっている。
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