バイオエタノール燃料は温室効果ガスの削減に効果的であるのは立証されている。だが、環境に優しい反面、さまざまな規制に縛られがちだ。
そんな中、エタノールを基盤とした新たな環境配慮型事業を展開しているアメリカ企業がある。
アメリカ中西部でカナダと国境を接するノースダコタ州は、「コーンベルト」と呼ばれるトウモロコシの生産地域の最西端に位置する。ここで「持続可能な航空燃料(SAF)」や低炭素エタノールの製造を行っているのがジーヴォ(Gevo)社だ。
燃料会社から「カーボン・バリュー・カンパニー」へ
ジーヴォは、05年に設立され、本社はアメリカ・コロラド州に置く。植物由来のイソブタノールの生産や、アルコールからジェット燃料を生産するATJ(アルコール・トゥ・ジェット)方式によるSAF技術の開発で長年知られてきたが、エタノール生産企業としても注目されるようになった。近年は、陸上・海上・航空輸送(自動車レース用途を含む)向けの燃料にカーボンバリューを統合することで事業を進化させている。
さらに、大気中の二酸化炭素を除去した技術を評価する「二酸化炭素除去」(Carbon Dioxide Removal、CDR)クレジットを自主的に炭素市場へ販売している。この場合のクレジットとは、CDRの実績を証書化したものを意味し、低炭素燃料市場が組み込まれた炭素を適切に評価しない場合に使われることが多い。
現在の中核事業はトウモロコシを原料にしたエタノール生産だ。年間で6700万ガロン(約2億5362万リットル)ものエタノール燃料を生産・販売する。このエタノールはアメリカで生産されるエタノールの中でも最も炭素強度(CI=生産活動などの全体サイクルにおけるCO2排出量)が低い部類に属する。最終的には、ノースダコタ州の施設でSAF(持続可能な航空燃料)に転換される。
同社は現在、エタノールのATJプラントの増設をノースダコタ州で検討しており、26年中に最終的な投資を決定する予定だ。投資が決まれば29年の商業規模での稼働を目指すという。
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【規模よりも事業構造で市場を攻める】
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