災害時には、店舗そのものが地域の支援拠点になる。衛星通信「Starlink」を使ったフリーWi-Fiを開放し、固定回線が途絶えても通信できる。蓄電池と太陽光発電で停電時の電力をまかない、スマートフォンの充電もできる。レジ上のサイネージは池田市の公式LINEやJアラートと連携し、災害情報を自動で表示する。店内の厨房では、米と水があれば災害時用のおにぎりも作れる。
コンビニは地域インフラになれるか
ローソンとKDDIは、平時はにぎわいの拠点、有事には支援の拠点となる店舗を全国に広げる構想を描く。今年2月には千葉県富津市に「災害支援ローソン」の1号店をオープンしており、こちらも2030年度までに全国100店舗の設置を目指している。今回の伏尾台店は、災害支援機能に地域コミュニティと行政サービスの要素を重ねた、より踏み込んだ形だといえる。
背景には、人口減少と高齢化で地域のインフラ維持が難しくなっている現実がある。買い物の場が消え、行政の窓口は遠く、災害時の備えも心もとない。そうした街に、24時間営業のコンビニが核となって機能を集約できれば、住民の暮らしを下支えできる。
もっとも、ハッピーローソンタウンをうたう店舗を全国100カ所に広げるには、採算性という壁がある。生鮮品の取り扱いやAI設備の維持、ドローンの運用にはコストがかかる。竹増社長は、赤字で続けられるものではないとし、採算を取りながら地域に還元する循環を回したいと語った。よろず相談所を担うKDDIの村元伸弥執行役員も、AIとリモート接客のプラットフォームには相応のコストがかかると認め、損益が見合う水準をこれから探る段階だという。
ローソンは伏尾台店を、住民の声を聞きながらサービスを練り直す実験場と位置づける。竹増社長は、全国チェーンとして同じ店を出す手法には限界があり、街ごとに品揃えやサービスを変える必要があると話す。今後は戸建て中心の伏尾台とは別に、入居率の低下と高齢化が進む集合住宅型のニュータウンも対象に据える。東京では、その集合住宅型の店舗を近く発表する予定だ。
