今、日本企業で「静かな解雇」が進行しているのはご存じでしょうか。リストラのような派手な幕引きではありません。しかし、気がつくと重要なプロジェクトから外されていて、部下がいなくなる。組織の中で、じわじわと「存在を消されていく」のです。
そしてこの「静かな解雇」が真にターゲットにしているのは、能力の低い人間ではありません。会社OSに過剰適応し、結果を出し続けてきた「優秀な歯車」から順に、組織の「お荷物」として追いやられていくのです。
積み上げてきたはずの実績が、組織というインフラが剥がれた瞬間に、自分を縛る「負債」へと一変してしまう。まるで、温室で育った植物が外気に触れた瞬間にしおれてしまうように……。
断言しましょう。50代の危機は、突然やって来ません。それは会社OSへの適応という、長年かけて自分自身が準備してきた危機なのです。
会社の看板を失って知った現実
47歳で独立した日の翌朝、私は手帳を開きました。すると、会議の予定が1つもありません。メールを開いても、部下からの報告がありません。そして電話も鳴りません。
出版社に勤めていた25年間、私の1日は常に会社のスケジュールと他人の都合によって埋め尽くされていました。私は編集者として600冊以上の本を作り、累計1200万部を世に送り出してきました。独立してからは、ミリオンセラー『人は話し方が9割』も編集しました。
しかし、そんな輝かしい実績も、あの朝の虚無感を1ミリも埋めてはくれなかったのです。本当の地獄はその直後にやって来ました。
独立してすぐ、かつての同僚から1通のメールが深夜に届きました。依頼のあった編集物に対し、一方的なリテイク(やり直し)の要請とともに、こう記されていたのです。
