ちなみに朝と夜の食事は僕が担当しました。
「良いトレーニングをしたご褒美だ!」と言って、奮発して高級食材を選んだのを覚えています。スーパーでの買い出し費用は塩貝選手が負担してくれました。そして洗濯も僕が担当しました。
やってやるぞという若々しい野心に燃えていて、僕まで大学生に戻ったような気分でした。
名門から奪った2ゴール
この取り組みはすぐに報われます。
代表ウィーク明けの最初の試合は、日本代表の上田綺世(うえだあやせ)選手と渡辺剛(わたなべつよし)選手が所属するフェイエノールト・ロッテルダム戦でした。
塩貝選手はベンチスタートでしたが68分にピッチに立つと、まずはクロスをヘディングで合わせて勝ち越し点を決め、さらにセンターサークルを少し越えた場所からダメ押し点となるスーパーロングシュートを決めました。
オランダの名門から2得点!
僕はフェイエノールトの関係者、ファンに囲まれながら観戦していたのですが、思わず立ち上がってガッツポーズしてしまいました。
身震いするような感動が起こり、こういう瞬間のために自分は仕事をしているんだと確信しました。
ただ、興奮を抑えきれない代理人とは対照的に、塩貝選手はいつも通りクールなままでした。
試合後にスタジアムの通路で会うと、塩貝選手は「やりましたよ」と言ったくらいで淡々としていたのです。
なぜ喜ばないのか? 彼には独自の哲学がありました。
「喜びすぎたら、自分の底が知れてしまう感じがするんですよ。これくらいで喜ぶんだと思われたくないんでね」
いやはや、大物です。
この2ゴールがなければ、ボルフスブルクが950万ユーロもの違約金を払うことはなかったかもしれません。
そして緊急合宿をしなければ、この2ゴールはなかったかもしれません。
タラレバの話になりますが、もし4日間のオフになったときにただ休んでいたら、2026年3月に日本代表に選ばれることはなかったでしょう。
塩貝選手は自らの意志の力でチャンスを引き寄せたのです。


