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「街のおでん屋」が生んだ赤味噌×デミグラスの「名古屋ハヤシ」、大手食品卸を動かした「意外な決め手」

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名古屋・錦3丁目「カモシヤ」の名古屋ハヤシ(979円)(写真:筆者撮影)
  • 永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー
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名古屋ハヤシが誕生したのは、カモシヤがオープンした翌年の2011年。きっかけとなったのは、橋本さんが全国のご当地グルメを食べ歩く中で抱いた疑問だった。

「ご当地グルメは必ずしも長い歴史があるものばかりではなく、比較的新しいにもかかわらず定着しているものも多い。それなら自分たちで作ることもできるのではないかと思いました」と橋本さんは振り返る。

「カモシヤ」の名物、味噌おでん。地元メーカーのナカモの「名古屋味噌」を使用(写真:筆者撮影)

カレーではなくハヤシライスを選んだのは、競合が少なく知名度があり、地域性を加える余地もあったからだ。さまざまな要素を組み合わせて新たな価値を生み出すのが名古屋の土地柄だと捉え、その象徴として赤味噌とデミグラスの融合を選んだ。

「発酵食品である味噌とデミグラスの相性はよいと感じていましたが、どこまで味噌を効かせるかのバランスはかなり試行錯誤しました。味噌が弱いと普通のハヤシになってしまうし、強すぎると成立しません。そのバランスを探りながら作りました」(橋本さん)

3店舗→8店舗→自然消滅…一度頓挫した取り組み

納得のいく味ができたものの、まだオープンしたばかりの「カモシヤ」だけで提供しても、一店の名物にとどまってしまう。そこで橋本さんは飲食店の経営者仲間に声をかけ、「新名古屋メシ創り隊」を結成。参加店とともに新たな名古屋めしを作り、SNSで発信する取り組みを始めた。そして、その第1弾として名古屋ハヤシを売り出した。

最初は3店舗から始まった取り組みは、名古屋の市章である「丸八」にちなんで8店舗となり、8種類のメニューを開発。SNSで発信すると、地元のテレビ番組や雑誌などのメディアにも頻繁に取り上げられたが、やがて自然消滅する。

発起人である橋本さんも含めて方向性を共有し続けることが難しく、発信の熱量にも徐々に差が生まれていったことが原因だった。

名古屋ハヤシ。「名古屋ハヤシ倶楽部」の参加店は、名古屋市内の居酒屋やワインバルなど全9店舗(写真:筆者撮影)
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