死体が解剖室に届くまで
解剖を要する死体は、私が勤務する大学の別棟にある解剖室まで、警察の方々の手で運ばれてきます。死因究明を目的とした解剖は大変な労働であり、また亡くなられた方の尊厳にもかかわることですから、当たり前ですが「予約なしの飛び込み解剖」のような事態は現実にはまずありえません。
では、死体は具体的にどのような流れで解剖室まで届けられるのか。ここでは鳥取県警の司法解剖を例に説明しましょう。まず、死因が不明だったり事件性が疑われたりする死体が発見された場合、あるいは病院に搬送後亡くなってしまった場合、まず警察が現場や病院に駆けつけます。ここで警察官が死体検分を行い、犯罪の疑いがあると判断された場合、検視官が検視を行います。
検視官は、死体がかかわる現場の責任者となる警察官を指す言葉です。検視による死因の特定や証拠の収集などを行い、事件性が否定できない死体については解剖の実施を決定します。「検視」とはその名のとおり死体の外表面を調べることを指し、警察官である検視官が行いますが、死体にメスを入れる「解剖」は医師にしかできません。解剖が必要と判断した場合、検視官は鑑定人(=司法解剖を行う法医鑑定医)に電話で司法解剖を依頼します。
