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発見された死体はどうやって解剖室に運ばれるのか…?ドラマ監修も務める法医学教授が教える、司法解剖が始まるまでの実態

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(写真:ワンセブン/PIXTA)
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そこでCT画像で全身を診断した結果、低体温症の特徴的所見があり、さらに肋骨が骨折していることがわかりました。死体発見時は5月でしたが、標高の高い山奥は朝晩が冷え込みます。この時点で低体温症による死亡、すなわち凍死の可能性がみえてきました。しかし、なぜ自宅の玄関で倒れたまま凍死したのか、その原因までは画像からは読み解けません。

次に、解剖室に死体を移動させ、解剖を行います。CT撮影の時点からわかっていたことですが、死亡した男性は身長166cm、体重35kgと異様にやせていました。低体温症がどうこう以前に、これは飢餓死が死因であってもおかしくないレベルの衰弱状態です。全身衰弱が死因のベースにあることを確認したところで、心臓から血液を採取します。

心臓血を採取する目的は、犯罪死の見逃し防止のためです。血液検査をすれば薬物使用の有無がわかりますから、解剖ではすべての事例において血液を採取し、県警の科学捜査研究所(科捜研)に提出するのが決まりになっています。体を流れている血液であれば必ずしも心臓でなくてもいいのですが、検査を行うのに十分な量を確保しやすいので、一般的には心臓血を採取します。さらに今回の解剖では凍死の可能性が高かったため、左心室と右心室のそれぞれから採血をし、血の色の違いを確認しました。

左心室は全身に酸素を供給するため、酸素をたっぷり含んだ真っ赤な血液が送り出されます。対して、右心室には酸素を使い果たして心臓に戻ってくる赤黒い血液が流れ込んでいます。凍死の場合、両者の血液の色の違いが、死後、特にはっきりと現れます。低体温では左心室血液の酸素消費量が減少するうえ、赤血球から酸素が離れにくくなるためです。実際、このケースでも色の差が明確にみられましたので「やはり凍死だろう」との可能性が高まりました。

解剖が終わったあとに残るもの

今回、死亡した男性の自宅は、トイレが家の外の玄関を出たところにある古い造りの一軒家でした。おそらく男性はすでに全身衰弱状態が続いており、トイレに行こうとして転んでしまったものと考えられます。そこで運悪く、肋骨が折れてしまった。だが、もともと弱っていた体では起き上がることもできず、5月とはいえ寒い屋外で長時間を過ごした結果、徐々に体温が低下し凍死に至ってしまったのだと推測されます。

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