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死体解剖は"医療器具"だけではできない…おたま、スプーン、電動ノコまで使う法医学現場のリアル

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(写真: mits/PIXTA)
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(画像:『法医学教授が教えている 死体の授業』)

「スプーン」や「ざる」は手術器具ではなく、ごく普通のカレーやゼリーを食べるときに用いる食事用スプーンと、キッチンにある調理器具のざるです。スプーンは、胃の内容物を掬って調べるときに使っています。ざるは胃の内容物を掬って濾し、残った固形物がなにか、消化の程度はどれくらいかを目視するために使います。

頭部切開用器具

続いて頭部切開用の器具をみていきましょう。頭蓋骨に守られた脳を解剖するためには、特別な開頭器具が欠かせません。頭を開くためには次のようなステップを踏んでいきます。

まず、頭の皮膚を切り開くためには、耳のうしろから上に向かって切開し、頭頂部をとおって反対の耳のうしろにまで切り込みを入れます。その切り込みから指先を入れ、力ずくでバリバリと前後に剥がしていくと、皮膚と皮下組織が一緒になって剥がれ、その下に骨膜が現れます。骨膜を剥がし、こめかみの筋肉が出てきたら、メスで丁寧に剥がします。そこからは電動工具の出番です。頭蓋骨を横向きにぐるりと電動ノコで切開します。その際、脳の周りを覆っている硬膜を傷つけないようにするため、どうしても骨が一部残ってしまいます。

ここで登場するのが「T字ノミ」です。巨大なマイナスドライバーとでもいえばわかりやすいでしょうか。切り残した骨でつながった頭蓋骨が上下に離れるように、切り込みにこのT字ノミを入れていく。無理やり剥がそうとすると脳に傷がつくため、ハンマーでT字ノミの後ろを叩き、骨を完全に切った上で、T字ノミでくりっとひねるように切り離していくと、頭蓋骨がお椀のように外れ、ようやく開頭の完了です。

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