しかし、急転直下、メッセージ一通で同僚と共に解雇されてしまう。
一方、「悪魔のよう」「氷の女王」と言われ、ファッション業界で多大な影響力を持つミランダ(メリル・ストリープ)。彼女が編集長を務めるトップファッション誌「ランウェイ」も、苦境に立たされていた。広告予算が削られ、紙からデジタルへの移行でPVが求められる。そして、ミランダの発言がSNSで大炎上し、逆風が吹いていた。
職を失ったアンディは、「ランウェイ」の炎上問題を立て直す役割を求められ、特集エディターとして呼び戻された。20年前の上司ミランダやナイジェル(スタンリー・トゥッチ)、先輩アシスタントだったエミリー(エミリー・ブラント)と再び関わることとなる。
本作は、“20年の変化”をかなりリアルに映し出している。1つ目は、出版・メディアを取り巻く環境の変化。紙の雑誌が売れなくなり、デジタル化が進み、PV至上主義となっている現状を描いている。
2つ目は、仕事文化の変化だ。パワハラ型のマネジメントは以前に増して批判の対象となり、誰かを犠牲にして頂点に立つ働き方は、許されにくくなっている。
劇中、ミランダが自分でコートをハンガーにかける姿をアンディが見かけたシーンがある。前作では、毎日アンディの机の上にコートを放り投げるように置いていたミランダが、自分の手でハンガーにかけている。わずかなシーンながら大きなインパクトがあった。
そして3つ目が、ライフステージの変化だ。前作公開当時にアンディと同じ20代だった世代は、今は結婚や子育てを経験し、キャリアもライフも様々な状況に枝分かれしている。
前作で双子の娘の子育て中でもあったミランダの娘たちとの関係はどうなっているのか。エミリーは、ラグジュアリーブランド「DIOR」の幹部として再登場し、広告主側の立場になっている。娘もいるようだ。
こうした変化のなかで揺れる人々の姿を、本作は丁寧に描いている。
キャラクターと視聴者の20年が重なる
筆者はまさにアンディと同世代で、学生時代は出版社への就職に憧れた。そして、20代の頃、出版社でバリバリと働く主人公を描いた安野モヨコの『働きマン』を愛読。仕事に全身全霊を注ぐ主人公・松方弘子と、雑誌編集部の働き方の壮絶さを、映画を観て思い出したのだ。
