東洋経済オンラインとは
ライフ

巨人・阿部前監督の逮捕と辞任「長女のChatGPTに相談」が決して責められない理由…家族を批判する人のあまりに残念な視点

10分で読める
阿部慎之助
阿部慎之助前監督の謝罪会見で、長女の手紙を読み上げる代理人(写真:時事)
  • 木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
2/6 PAGES

1つ目の論点「AI相談」については、子どもに限らず何らかの対策が必要であることは間違いないでしょう。

阿部前監督の長女は「これまで大きなけんかがなかった」からこそ気が動転し、そこで頼ったのがChatGPTだった様子がうかがえます。

しかし、基本的に児童相談所の対象年齢は18歳未満のため、本来なら長女は該当しないため、児童相談所を勧めてきた時点でズレた回答でした。もちろんAIもその対象年齢は把握しているでしょうが、使い方によっては回答の精度が下がり、個別の具体的なケースに弱いことがわかるのではないでしょうか。

また、仮に長女が18歳未満だったとしても、「巨人の監督ほど有名人の子どもが児童相談所に相談した場合の影響」を適切にとらえられるのかはわかりません。

少なくとも現時点でのAIには得意分野と不得意分野があり、使い方によっては事態を悪化させてしまうことは明白。特に人生経験が少ない子どもで、しかも感情のコントロールが不十分なときは、「決断の重要性が高いものほど複数の人間に相談する」「AIは参考の1つにとどめる」ことが適切でしょう。

もちろん暴力などの緊急性が高ければ、まずは避難して危機を回避し、相談の機会を作るようにしたいところです。

この点における最大の問題は、子どもの安全に関する相談・通報の窓口がわかりづらかったこと。子どもが「どこへ連絡すればいいのか」がわかる複数の連絡先が書かれたものを用意し、学校や地域などの活動でふだんから周知させておく必要性を感じさせられます。これは今回の騒動をきっかけに行政・教育の現場で動きたいところでしょう。

「親子の問題」と矮小化しない

2つ目の論点「児童相談所と警察の対応」については、多少の改善点こそあっても問題視されることはないように見えます。

今回の件で最も重要なのは、結果的に深刻な事態を避けられたこと。児童虐待の相談対応件数はここ30年近く増え続けていて、身体的、心理的、性的、ネグレクトなどさまざまなケースが混在しているだけに、最悪のケースを考えて早めに動くのは当然でしょう。

次ページが続きます:
【児童相談所と警察の対応は評価していい】

3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象