東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #ホットイシュー

隊員募集強化でも「自衛隊24万人体制」はもう維持できない、隊員不足の真の原因は少子化、陸自は10万人削減すべき理由

12分で読める
平成25年自衛隊記念日観閲式で更新する陸自隊員(写真)陸上自衛隊ホームページ。
2/6 PAGES
3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES

この13万人は防衛省も認めている。2026年2月の「人的基盤強化をめぐる課題」では、45年に維持できるのは13万人としている。期せずして筆者の見立てどおりとなった。25年に『軍事研究』誌で最初に示した数字と符合しているためである。

問題は、どうやって13万人まで減らすかだ。最良なのは、陸自を10万人ほど減らすことだ。規模縮小と予備役主体の構成で平時は4万5000人にする。そうすれば陸海空それぞれ約4万5000人ずつで13万人とバランスよくまとまる。

実際にそうするしかない。仮想敵国である中国との対峙を考えれば海・空自は減らせない。そこで役に立つのは軍艦や戦闘機だからだ。それからすれば、対中軍事力とならない陸自を減らすしかない。

なお、陸自削減の必要性は以前から言われていた。日本防衛の第一線は海と空である。それにもかかわらず軍事費の過半、人員の7割を陸上戦力に割いていたからだ。冷戦後期には陸自の過大は問題となっていた。

鈴木善幸内閣(1980~82年)や中曽根康弘内閣(82~87年)が進めようとした「海空重視論」は、陸上戦力の縮小を前提にしている。その余裕で海空戦力を強化する発想だ。同様の陸自縮小案はその後も1990年代後半と2010年代末にも検討されている。

さらにさかのぼると1953年やさらには1944年にも問題となっている。53年の「池田・ロバートソン会談」や44年の「竹槍事件」も、陸上戦力整備の非効率と海空戦力増強を求める内容だからだ。

池田・ロバートソン会談=当時の自由党政調会長だった池田勇人(後の首相)とアメリカのウォルター・ロバートソン国務次官補との間で行われた防衛問題についての会談。日米安全保障体制にとって重要な意味をもった会談。
竹槍事件=1944年2月23日付『毎日新聞』1面に掲載された戦局を解説する記事で「竹槍では間に合わぬ」として海軍航空力増強を説いた記事が、当時の東条英機首相の逆鱗に触れた言論弾圧事件。

陸自の政治的抵抗が強かった

ただ、いずれも頓挫した。陸自削減は与党の政策であり、野党も総論賛成だった。それにもかかわらず骨抜きとなってしまった。

95年の定数削減は削減詐欺である。陸上自衛官の定員を18万人から16万人としたが、当時の陸上自衛官数は15万8000人前後であった。

05年の削減に至っては逆に焼け太りとなった。定員を15万5000人としたものの、それは予備役を減らしただけである。現役自衛官の定員枠はむしろ3000人の増加となった。

それはなぜか。陸自の政治抵抗に遭ったためだ。以前から陸自は、「海空重視論」への対策として政治力の涵養を進めていた。出身者を政界に送り込む。隊員の投票行動で政治に圧力を加える具合である。陸自は日本防衛の合理化よりも、組織防衛に熱心だったといってよい。 

次ページが続きます:
【募集強化は机上の空論?】

6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象