それを新型ではスプリングのバネレートを弱め、それにダンパーの減衰力で合わせる真逆の設定にしたのだ。具体的にはダンバーの伸び側の力を強くすることで、スプリングとダンパーの役割分担を変えながら、しなやかさと車体の安定性を両立させている。
この手法は多くの国内外競合車が採用する手法で、多くの走行領域をカバーできる利点がある。もう1つのメリットとしてスプリングがソフトになったことで車両の応答性能も物理的には高められる。
マツダらしさを失っていないのか
筆者はここにデメリットもあると考えている。競合車と同じような滑らかな乗り味とのトレードオフで、マツダらしさは確実に薄らいでしまったからだ。
筆者は初代CX-5が登場した12年から一貫してマツダがSUVで目指した独自理論を用いた走行性能、つまりマツダらしさに強く惹かれていた。なぜなら、従来のSUVとはまったく異なる走りの楽しさを体現していたからだ。
その走りとは人馬一体。古くは流鏑馬、今ではスポーツカーを形容する言葉として使われるが、車体が大きく、重くなる傾向のSUVであっても、マツダが生み出すSUVはいずれも人馬一体感を抱くことができる希有なモデルばかりだった。
一般的にドライバーは、踏み込んだアクセル量に対する加速の強さ、つまり速度の変化量を予測しながら頭部を支える首筋に緊張感を与えて身体が反り返らないよう無意識に身構えている。その身構えにかかる時間はわずか0.2~0.3秒。興味深いのは、ゆっくり/素早く、どちらのアクセルワークに対しても同じだけ時間がかかるということだ。
