②高齢者向けデジタル機器
日本のスマホメーカーやPCメーカーは、商品化の際に「多機能・アプリ重視」といった発想を重視してきた。しかし、高齢者が求める「簡単で、見やすく、押し間違えない」という基本的なニーズを十分に満たせなかった面がある。
同様に、ここ10年程度の間に急速に商品化が進んでいるのが、医療・介護現場で使われる電子カルテや介護ロボットだ。急速に高齢化が進む日本では、人口減少と相まって人手不足が深刻化し、その解消の切り札として電子カルテや介護ロボットなどの開発が進められた。
ところが、ここでも日本メーカーは、高齢者施設や病院のスタッフも高齢化していることを見逃し、「多機能、高価格」にこだわり、操作の難しい製品化に走ってしまうことがあった。ここでも、マーケティングのミスがあったのではないかと指摘されている。この分野でも、日本のメーカーは海外での苦戦を強いられている。(原田曜平著『「シニア」でくくるな!“壁”は年齢ではなくデジタル』日経BP、2024年より)
高齢者のニーズの本流は?
③フィットネス業界
フィットネスクラブやスポーツクラブが街中に林立している現在、顧客の大きな部分は若者ではなく中高年層や高齢者ではないか、という疑問がわく。最近になって新規に登場してきたフィットネスジムの多くは、風呂やサウナの設備もなく、中にはロッカーさえも設置していないジムが少なくない。
若者向けのフィットネスクラブにニーズがあると判断しての出店かもしれないが、これまでのスポーツジムの好調さは中高年層や高齢者によっても支えられてきたはずだ。高齢者が好むジム通いは、長時間滞在型の施設であることも多い。最近出てきている若者向けの筋トレや高負荷のプログラムは、高齢者にとってはハードルが高い。
高齢者には、低い負荷で、安全性が高く、短時間でも長時間でも対応できるスポーツジムが好まれる。実際に、30分、低負荷、女性専用として中高年女性のニーズに応えた「Curves(カーブス)」は、そのニーズを捉えて成功した代表例だろう。
ただ、高齢者のニーズの本流は「長時間、低負荷、高い安全性」と考えるべきだろう。相次いで出店する現在の若者向けフィットネスクラブは、消費の大きな塊であるシニア層のニーズを十分に満たしていないのではないか。
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