『日本企業における失敗の研究』(河合忠彦著、有斐閣、2019年)などでも、薄型テレビをめぐる日本企業の戦略や組織上の課題が分析されている。日本企業は一律に「高画質、多機能」を追求し、高価格にこだわりすぎた面があった。高齢層にとっては、画質や機能の多さだけでなく、価格の納得感や操作のしやすさも重要だったはずだ。
日本メーカーの大型テレビは、ネット機能や録画連携、高画質モードなどを多く搭載し、操作が難しい機種になりがちだった。高齢者は金融資産を持っているとしても、「価格は抑えたい」「操作は簡単であってほしい」というニーズを強く持っている。このニーズに十分応えられなかったことも、マーケティング不足の一例といえるだろう。
旅行、IT、フィットネス……高齢者マーケティングの難しさ
日本企業が消費の大きな塊である「高齢者」へのアクセスを十分に考えず、商品戦略や販売戦略で苦戦したケースは、これまでも数多く存在する。たとえば「ガラパゴス化」という言葉に象徴されるように、日本メーカーの国際競争力は大きく低下した。そして、残念ながら、その傾向は今も変わっていないのかもしれない。そんなケースをいくつか紹介しよう。
①豪華旅行
2000年代以降、数多くの企業が高齢者を「若者化したシニア」と定義付けて、さまざまな豪華旅行を企画して販売したことがある。クルーズや豪華列車を使ったアクティブな高額旅行を企画したのだが、シニア層の中には節約志向が強く、慎重で、安全性を重視する層も多い。
もちろん、高額旅行に一定の需要はある。ただ、すべての高齢者が高額でアクティブな旅行を求めているわけではない。旅行会社などが「慎重・節約・安全重視」といったシニア層のニーズを見誤ると、商品企画は外れやすい。そして、最近の大手旅行会社の商品ラインアップを見ても、100万円前後もする豪華旅行が目立つ。そこにどれだけ広い需要があるのかは、慎重に見極める必要がある。
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【高齢者のニーズの本流は?】
