また、総務省の「家計調査」によると、世帯主の年齢階級別消費支出額(二人以上の世帯、2024年)は60歳~69歳で月額31万1392円、70歳以上でも月額25万2781円の消費支出がある。これを他の世帯と比較すると、40歳未満は28万451円、40歳~49歳は33万1134円、50歳~59歳は35万6946円となっている。
「巨大な消費層」としてのシニア
数字だけを見ると、高齢者世帯よりも現役世代のほうが消費支出額は多い。ただ、60代以上の世帯は子育てを終え、住宅ローンの支払いも終えている世帯が少なくない。40歳未満の消費支出額を上回る水準にあることも踏まえると、シニア層を「消費の脇役」と見るのは誤りだろう。
こうした傾向を分析することなく、金額だけを見て「消費の中心は30代から50代の現役世代」と決めつけてしまう。結果的に商品戦略や販売戦略を誤ってしまうケースも多いようだ。
実際に、最近になってテレビ朝日のモーニングショーでも紹介されたが、年代別の「日用消費財」年間購入金額(2024年)を見ると、その差は大きい(インテージ著『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』朝日新書)。
30代……24.6万円
40代……29.6万円
50代……32.3万円
60代……35.2万円
70代……34.2万円
全体の平均が27.8万円だから、このデータでも60代以上のシニア層の存在感が大きいことがよくわかる。
購買余力が大きい60代、70代を、日本企業はきちんとカバーしてきたのだろうか。実は、企業の消費動向のマーケティング調査の不足がもたらしたケースは意外と多い。
たとえば薄型大型テレビの分野では、日本メーカーが韓国勢、後には中国勢との競争で苦戦した。価格競争力やパネル調達力、経営判断の遅れといった事情に加えて、日本最大のテレビ購買層であった中高年層や高齢層のニーズを十分に捉えられなかったのではないか、という見方もある。
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【高齢者マーケティングの難しさ】
