さらに2020年からは本格的に終活事業に取り組み、遺言や相続、墓じまい、葬儀、供養まで支援している。
「『これで安心して死ねます』と言っていただくことがあります。究極の感謝の言葉で、人生最期の決断を託していただいたことがありがたい。神社はこれまで祈願や厄除けで人をポジティブにすることはできたのですが、終活はもっと明確に具体的な課題を解決できる。重い責任を感じるとともに、やって良かったと思える瞬間です」
和布刈神社では、未来への見通しが立った。しかし、高瀨さんはそこで満足しなかった。
「いろいろな方に支えてもらったおかげで、和布刈神社は1800年もの長きにわたり続いてきて、そして未来に向けても整えることができた。でも、全国には同じように経営面で悩んでいる神社がたくさんあります。自分の経験を少しでも役に立てられないかと思い、再び中川政七商店に相談しました」
そして、2022年に「SAISHIKI」という別会社を立ち上げ、全国の神社に対して終活サービスやブランディングの支援を展開。「先方の負担を減らすため」フランチャイズ形式にすると、最初に加盟したのは青森の廣田神社だった。
「たまたま僕が呼んでもらった講演会で、約400人の神主さんにオンラインで話をしたところ、関心を寄せてくれたのが廣田神社でした」。現在は8つの神社をサポート中で、いずれも収益を確保できているという。
「神社なのにお金の話」批判も
全てが順調のように見えるが、もちろん葛藤や逆風もある。
「神社はハレの場というイメージが強いので、弔いを扱うことに違和感を持たれる方もいるようです。また、神社は数字を出して経営するものではないという声も耳に入っています」と率直に語る。
「正直なところ、和布刈神社だけの話ならお金の話はしなかったでしょう。しかし、僕はここで培った経験をもとに、同じ悩みを抱える全国の神社をサポートして、神社が消滅するのを少しでも防ぎたいんです。そのためには数字まで赤裸々に公開することで説得力が増すと考え、批判も覚悟の上で出しています」
