なぜ亜鉛-ハロゲンなのか。宮川社長は技術特性に加えて、材料調達の観点を強調した。リン酸鉄リチウム電池はほとんどの材料を中国から調達している現状を挙げ、国際環境が万が一崩れた場合に目指す姿に到達できないリスクを語った。亜鉛-ハロゲン電池は主要原材料のハロゲン化物や亜鉛を日本国内で調達できる。サプライチェーンの強靭化が、技術選定の決め手の1つになった。
量産化に向けて、ソフトバンクは韓国のスタートアップ2社と協業する。セルの開発を担うのが、亜鉛ハロゲン化物バッテリーの技術を持つCOSMOS LAB(コスモスラボ)だ。同社の技術をベースに、量産化に向けた共同開発を進める。2027年度をめどに量産を開始する。
蓄電システムについては、DeltaX(デルタエックス)と協業する。同社は多数のバッテリーセルを効率的に接続するCCS(Cell Connecting System)設計と、セルをモジュール化せず直接パックに統合するCTP(Cell to Pack)技術を持つ。両技術を組み合わせて、世界最高水準のエネルギー密度を狙う。リチウムイオンバッテリーを使った標準的なコンテナ型蓄電システムで5.37メガワット時の蓄電容量を実現しており、亜鉛-ハロゲン電池でも同等以上を目指す。商用の20フィートハイキューブコンテナ型で5.00メガワット時を超える水準で、同社調べで世界最高水準としている。
ソフトバンクは両社に出資していない。安全性とエネルギー密度の両立を可能にする最先端技術を持ち、量産まで早期にスケールできる可能性があると判断した、と説明する。ただし両社とも小規模なスタートアップで、ギガワット時規模の量産実績はまだない。2028年度の量産にこぎつけられるかどうかは、両社の技術成熟度と、量産工程の構築をソフトバンク側がどこまで主導できるかにかかる。
AIデータセンターと一体運用へ
製造した電池はまず自社のAIデータセンターに導入する。同社は北海道苫小牧と大阪堺の2拠点で建設中だ。苫小牧が2026年度に50メガワット規模で先行稼働し、最大300メガワットまで拡張する。大阪堺は2027年度の開業を目指し、敷地は約45万平方メートル、東京ドーム10個分の規模。計算能力110エクサFLOPS、米エヌビディアのH200換算で約10万枚相当のGPUを稼働させる予定で、電力容量は当初140メガワットで立ち上げる。
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【1000億円以上の売上規模は通過点】
