【前編】《キラキラ海外駐在妻》のはずが…アメリカで自殺した母 「私のせい」と苦しんだ少女が選んだ"ふたり分の人生"のその先
「17階のベランダに吸い込まれそうになりました」
駐在妻として夫に帯同して約4年間タイで暮らした前川由未子さんは、一番苦しかった当時をこう振り返る。
慣れない異国での孤独な育児。夫は朝早く家を出て、子どもが寝た後に帰ってくる。平日はひとりで1歳半の長女と、生まれたばかりの長男の世話をしなければいけなかった。
タイに来たばかりで知り合いはおらず、タイ語もわからない。
長女を幼稚園に預けることもできず、ふたりの子どもと家に引きこもる生活。平日は夫も不在で、何気ない愚痴をこぼせる相手すらいなかった。
イヤイヤ期真っただ中の長女に怒ってしまい、自己嫌悪に陥り涙が止まらなくなった。
「こんな母親ならいないほうがいいのではないか」
1歳半の長女を連れて妊娠8カ月でタイへ
大学で博士号を修了し、臨床心理士として活動していたが、夫の海外転勤に伴い、1歳半の長女を連れて妊娠8カ月でタイの首都バンコクに移り住んだ。
「華やかなイメージ」を持たれることも多い海外駐在だが、前川さんはタイでさまざまな苦労に直面した。
2020年3月にタイに渡航し、コロナ禍の影響で到着の6日後からロックダウンに。まちの様子が何もわからないままに生活がスタートした。
コロナ禍でも夫は比較的早い段階で出社が始まり、朝6時過ぎに家を出て、夜は10時近くに帰ってくるような毎日になった。そのため、平日はほとんど子どもに会えない。
タイで暮らし始めて3カ月後には第2子を出産。コロナも落ち着き、外出できるようになったものの、知り合いが誰もいない異国での生活に、次第に心のバランスを崩していった。
夫は前川さんを気遣い、豪華なレストランや旅行に連れ出したが、一時的な高揚感にはつながっても、根本的な孤独感の解消にはならなかった。
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【お手伝いさんを雇っているんだから】
