日本の長期金利が顕著な上昇を続けている。この背景には、日本銀行の金融政策の正常化への動きがある。だが、理由はそれだけではない。2025年秋以降の状況を考察し、足元の金利上昇の本質を考えてみたい。
長期金利のこれまでの推移を見ると、25年9月の1.6%台から26年5月の2.5%台へと、約0.9%ポイント上昇した。25年9〜11月の期間は「急騰」というより、1.6%台でじりじり上がる局面だった。その後、25年12月から26年2月にかけて2%台に乗せた。
この時期の金利上昇の背景としては、まず日銀による金融政策正常化がある。すでにマイナス金利政策とYCC(イールドカーブ・コントロール)は終了しており、市場は「日銀は追加利上げを続ける」と見るようになっていた。
また、日銀は長期国債の買い入れ予定額を段階的に減額し、事実上、量的引き締めに近い運営を進めるとしていた。26年4〜6月期以降は月間の長期国債買い入れ予定額を、原則として毎四半期2000億円程度ずつ減額し、27年1〜3月期には月間2兆円程度まで減らすとしていた。
金融市場の基本認識が変わった
これは、国債市場にとって大きな構造変化だ。それまで日銀は国債の巨大な買い手だった。その買い手の購入量が少しずつ後退するなら、国債価格は下がりやすくなる。国債価格が下がれば、利回りは上がる。
もちろん日銀は、長期金利が急激に上昇する場合には買い入れ増額や指し値オペなどを実施する余地を残している。 しかし、市場の基本認識としては「日銀が以前のように無制限に長期金利を抑え込む局面ではない」という方向に変わった。
25年12月には10年国債利回りが1.872%と、18年ぶりの高水準にまで上昇した。これは、それまでの1.6%台から明確に一段上がった局面だ。同年秋以降の長期金利上昇は、日銀が国債市場を強く支える時代が終わりつつあることを市場が織り込んだ動きと見ることができる。
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【年明けに浮上した別の金利上昇要因】
