だが、年明け以降の長期金利上昇を説明するには、高市政権の積極財政への市場の警戒を考慮に入れる必要がある。
投資家が「今後も財政赤字が続く」「国債発行が増える」「日銀の買い支えは以前ほど期待できない」「将来、インフレや円安で国債の実質価値が目減りするかもしれない」と考えるようになると、国債により高い利回りを要求する。つまり、国債価格が下がり、利回りが上がる。
10年国債利回りの上昇には、26年2月の衆議院選挙で高市政権の積極財政路線が政治的な信任を得たとの受け止め方も影響したとみられる。さまざまな分析が、高市政権の発足以降に長期金利の上昇が加速した原因として、市場が同政権の積極財政を警戒しているためと説明している。
つまり、25年秋以降の長期金利上昇は、日銀要因、インフレ要因、財政要因の3つが重なったものだ。高市政権が掲げる積極財政によって、今後も国債発行が増え、政府債務残高が膨らみ続けるとの見方が市場に広がったことも、利回り上昇の重要な要因となった。
日銀が国債買い入れを縮小する中で、投資家は日本国債を保有するリスクに対して、より高い利回りを求めるようになったのである。したがって、長期金利の上昇は、金融政策正常化の反映であると同時に、財政運営に対する市場の警告でもあると捉えることができる。
ただし、「高市政権だけが原因」というより、日銀の買い支えが弱まる局面で積極財政への警戒が金利上昇を加速させたと見るべきだろう。
長期金利2%が象徴する「ゼロ金利時代からの離脱」
26年1月には、10年国債利回りが2%台に入った。2月には2.249%まで上がった。これは、日本の金利としては非常に大きな変化だ。
16年以降のYCC期には、10年金利は長期間にわたってゼロ%近辺に抑えられていた。その当時と比較すると、2%台という水準はデフレ・ゼロ金利時代からの離脱を象徴する水準だ。
以上を要約すれば、この時期における長期金利の上昇は、日本経済がデフレ・ゼロ金利体制から抜け出したことの表れであると同時に、財政と金融政策の持続性が市場からより厳しく問われ始めたことの表れでもあると解釈することができる。
26年3月には、10年国債利回りはいったん2.122%へ低下した。しかし、これは上昇トレンドの終了ではなく、一時的な調整と見るべきだ。
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【そして長期金利は「明確な上昇局面」に】
