同年4月以降の日本の長期金利は、明確な上昇局面に入った。新発10年国債利回りで見ると、4月1日は2.300%だったが、4月上旬に2.4%台へ上昇した。4月30日には一時2.535%まで上昇し、1990年代後半以来の高水準となった。
上昇過程をもう少し詳しく見ると、次のとおりだ。4月初めの段階では、10年債利回りは2.3%台前半だった。4月下旬にはさらに上昇し、30日に一時2.535%まで上昇し、約29年ぶりの高水準になった。
その後も上昇圧力は続いている。5月に入ると、10年債利回りは7日に2.475%、11日に2.515%、12日に2.545%と、2.5%前後で推移。そして、14日には一時2.625%まで上昇し、1997年5月以来、約29年ぶりの高水準となった。 18日には新発10年国債利回りが2.800%となり、29年ぶりの高水準を更新した。
この局面では、10年債だけでなく、20年、30年、40年といった超長期債の利回りも上昇しており、国債市場全体で金利水準が上がっている。
なお、日本の金利だけが単独で動いているわけではない。アメリカ国債が下落し、G7全体で長期債利回りに上昇圧力がかかっている。世界的に、インフレ再燃、原油高、財政赤字、地政学リスクなどを背景に、長期債の利回りが上がりやすくなっているのだ。日本国債もその流れから無縁ではない。
この先の金利動向はどうなるのか
4月以降の金利上昇には、イラン戦争を背景とするインフレ懸念も強く影響している。とくに重要なのは、原油高と円安の影響だ。
日本はエネルギー輸入国だから、原油価格が上がると同時に円安が進むと、輸入物価が上がる。それが、電気代、ガソリン代、物流費、食品価格などに波及し、物価上昇が長引くとの見方が強まる。
電気・ガス料金補助の再開観測が出たことで、早期の補正予算編成への思惑が広がり、長期・超長期ゾーンに追加的な売り圧力がかかった可能性が指摘されている。これは、電気・ガス料金補助だけの問題ではない。市場が気にしているのは「今後も物価対策、減税、補正予算、複数年度予算などで国債発行が増えるのではないか」という見方だ。
日銀は4月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置いたが、9人の審議メンバーのうち3人が1.0%への利上げを主張した。これは、市場に「近い将来、追加利上げがある」と受け止められた。日銀も4月の金融政策決定会合後の説明で、エネルギーショックが広範な物価上昇に波及するリスクに注意しているとした。
長期金利は、現在の政策金利だけでなく、将来の短期金利の予想を織り込む。したがって、日銀が今後も利上げを続けると市場がみると、10年国債利回りも上がる。4月会合での決定は「利上げが遠のいた」というより、「6月以降の利上げ可能性が残った」と読まれた可能性が高い。
