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【死亡者数は年間6万人!】症状の出づらい高齢者を待ち受ける、「誤嚥性肺炎」から死に至る"静かで段階的"な道のり

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誤嚥性肺炎の厄介なところは、その症状がわかりにくい点だという(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 戸原 玄 東京科学大学大学院医歯学総合研究科医歯学専攻老化制御学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野教授
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よく「誤嚥性肺炎はクセになる」と言われるのは、最初の誤嚥性肺炎をきっかけにして、食べる力や体力が落ち、再発するケースが多いからです。

しかし、私にいわせると、誤嚥性肺炎がクセになるわけではありません。誤嚥がクセになっているのです。のどの不調をそのまま放置してしまい、肺炎という症状が出るまでこじらせてしまう――これさえ防げれば、肺炎になるリスクは大きく下げられます。

家族も"わずかな変化"に気づけるように注意して

誤嚥性肺炎がここまで広まった理由には、社会の理解不足もあります。みなさんは、食事がのどに詰まったり、むせたり、飲みこみに時間がかかったりするのは「年をとったのだから仕方がない」と思っていないでしょうか。

誤嚥性肺炎発症から死に至るまでの道のりは、とても静かで、段階的です。最初は、少しむせやすくなるだけ。しかし、しばらくすると食事に時間がかかるようになり、水分でもむせることが増え、痰が絡みやすくなります。

それでも本人は「年をとれば誰でもこうなる」と受け止めます。家族も「ちょっと食べづらそうにしているだけで、元気だから大丈夫だろう」と深く考えません。そうしているうちに、誤嚥を頻繁に起こすようになり、ある日、肺炎として表面化してしまうのです。

たしかに、年齢を重ねると体の機能は衰えますが、衰えと病気は同じではありません。

あなたの体に起こっているのどの不調は、誤嚥性肺炎の入り口になる危険性があります。それを「仕方ない」と片付けてしまうと、対処の機会を失ってしまうのです。

誤嚥は痛みをともないません。そのため、「自分は大丈夫だ」と思ったまま、リスクが積み重なっていきます。家族や周囲が変化に気づき、声をかけることが、命を守るきっかけになるのです。

ここまでは、誤嚥性肺炎の恐ろしさについて説明してきました。しかしながら、誤嚥性肺炎は不治の病ではありません。1度かかったら一巻の終わりという病気ではないのです。

治療自体も特別に難しいわけではなく、抗菌薬を投与し、点滴や酸素投与を施して、全身管理をおこなうだけです。薬が効けば、早ければ数日から数週間で肺炎は治まります。肺炎が完治したあと、日々の生活を見直すことで回復し、元の生活に戻っている方もたくさんいます。

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