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2026年5月14日からの米中首脳会談を前に、台湾の立法院(国会)は5月8日、「国防強靭化および非対称戦力特別条例」ならびに関連特別予算案を可決した。まさに土壇場のタイミングで、台湾側が安全保障への強い姿勢を示した形となった。
当初、頼清徳政権と行政院(内閣)が提出した構想は、台湾の防衛能力を大幅に引き上げることを目的とした大規模計画だった。想定規模は総額1兆2500億台湾元(日本円で約6兆円)で、対象期間は26年から33年までの8年間とされていた。
大規模な防衛力強化計画
主な内容には、AIを活用した統合防空システム「T-Dome(台湾版アイアンドーム構想)」の整備、20万機規模の無人機量産計画、ドローン・スウォーム(群制御)技術の開発などが含まれていた。また、非対称戦力強化を目的とした自走砲や精密誘導弾薬の調達に加え、無人艦艇(USV)や次世代型装備の研究開発も盛り込まれていた。
さらに、量子暗号通信網やAI支援型指揮システムなど、先端技術分野への投資も計画されており、台湾軍の体制を質・量の両面から刷新する構想と位置づけられていた。
これに対し、立法院で多数派を占める野党の中国国民党(国民党)や台湾民衆党(民衆党)は、この計画に盛り込まれている防衛力強化の必要性そのものは否定していなかった。
しかし、「具体的な調達内容や費用対効果が十分に示されないまま、巨額予算だけが先行している」として、「白紙委任に近い」と批判していた。また、8年間に及ぶ大型支出が財政負担を拡大させ、将来世代への重荷になるとの懸念も示していた。
さらに、一部野党議員は、中東戦争などで露呈した大型無人機の脆弱性を引き合いに出し、高額なアメリカ製兵器への依存を見直すべきだと主張。与党・民主進歩党(以下、民進党)に対し、調達戦略の再検討を求めていた。
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【韓国瑜・立法院長の判断】
