アメリカ側の国民党政権への不信感は、第2次世界大戦中にまでさかのぼる。象徴的なのが、アメリカ陸軍のジョセフ・スティルウェル将軍(1883~1946年)と蔣介石(1887~1975年)との対立である。
スティルウェルは、蔣介石が日本軍との戦いよりも中国共産党との内戦を優先し、アメリカから供与された物資を前線投入せず温存していると厳しく批判した。また、軍内部に広がる腐敗や汚職体質についても問題視していた。
国民党軍人に向けられたアメリカ将軍の不満
その後、1949年に公表されたアメリカ政府の「中国白書」では、国民党政権敗北の主因はアメリカの支援不足ではなく、「指導部の腐敗と統治能力の欠如」にあったとの認識が示された。
こうした歴史的経緯もあり、アメリカでは現在でも、台湾軍内部に中国大陸志向を持つ関係者が残っている可能性を警戒する見方が存在するとされる。とくに懸念されているのが、中国への機密漏洩問題である。
実際、近年では台湾の退役将校らが中国側のスパイ活動に関与したとして摘発される事件が相次いでいる。こうした問題が、アメリカによる最先端軍事技術供与に慎重論を生む一因になっているとの指摘もある。
その象徴例としてしばしば挙げられるのが、イージスシステムだ。日本やオーストラリアなど正式な同盟国には供与されている一方、台湾には同水準の統合システム導入が認められていない。
背景には、万が一台湾有事が発生すれば、中国側にシステムや関連機密が渡るリスクへの強い懸念があるとされる。とくにフェーズドアレイレーダーや迎撃システムに関する機密は、アメリカ軍の中核技術とも言える存在であり、慎重姿勢を崩していない。
さらに、イージスシステム級の統合防空ネットワークは、アメリカ軍との高度なデータリンク共有を前提とする。そのため、正式な同盟関係にない台湾を完全に組み込むことは、「一つの中国」政策との整合性にも影響しかねないとの見方がある。
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【正式な軍事同盟国ではないが…】
