削減対象には、国産ミサイル防衛網「T-Dome」や、国内ドローン産業育成など、台湾独自の防衛産業強化や国防自主化に関連する計画が多く含まれたと報じられている。
最終局面では、韓氏に加え、国民党内の親米派・現実路線派、さらに民衆党が歩調を合わせ、アメリカ側が正式提示済み、あるいは提示予定の兵器調達を優先する方向で調整が進められた。その結果、予算総額は約7800億台湾元を上限とする形でまとまったのである。
台湾政界でこのような攻防が続く中、台湾におけるアメリカの窓口機関である米国在台協会(AIT)台北事務所長のレイモンド・グリーン氏が、異例ともいえる頻度で発言を重ね、台湾側に対し特別予算案の早期成立を促していた。
アメリカが予算成立を促した理由
グリーン氏は、国務省内でも有数の「ジャパン・ハンド(日本通)」かつ「台湾ハンド」として知られるキャリア外交官である。英語に加え、日本語と中国語にも堪能で、妻は日本人。日本と台湾の双方で次席級・代表級ポストを歴任した経歴を持ち、東アジア安全保障を横断的に理解する外交官として知られている。
そのグリーン氏が26年に入り、講演やメディアインタビューで「Freedom is not free(自由は無料ではない)」という表現を繰り返し用いるようになった。これは、アメリカによる支援継続の前提として、台湾自身の防衛努力が不可欠であるとの認識を強調したものと受け止められていた。
さらに同氏は、予算成立の遅れが、アメリカの兵器生産ラインにおける台湾向け供給の優先順位へ影響する可能性にも言及した。ウクライナ戦争以降の国際情勢に加え、中東情勢の緊迫化などによって世界的な兵器需要が高まる中、台湾側で予算承認が遅れれば、納期がさらに長期化するリスクがあると警告していた。
また、政権側が提示した1兆2500億元規模の予算案についても、ドローン戦力やAI統合型防空システムの整備は、近年の戦争から得られた教訓を反映した合理的な方向性だとして支持を示していた。
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