東洋経済オンラインとは
ライフ

斎藤幸平が警告「わかったつもりが一番危ない」…AI時代を生き抜くための、「違和感」と向き合う読書術

11分で読める
「わかったつもり」になっていた本でも、そこに別の視点が浮かび上がってくることがあります(写真:zon/PIXTA)
2/6 PAGES
3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

読み進める中では、たとえばマルクスの言っていることに、違和感を覚えることもあります。「あれ? ここは違っているのでは?」と感じたりもする。それを単なる間違いと判断して、「使えないから」と切り捨ててしまえば簡単なのかもしれません。

しかし、私はそれを絶対にやりたくないと思っています。それでは、自分の言いたいことをマルクスに代弁させるに過ぎなくなってしまうからです。

「違和感」がブレイクスルーのポイントに

そうではなく、マルクスが書いていることは、ともかく一度すべて受け入れる。どこかを切り捨てることも、別の場所から何かを持ってくることもしない。ただそこにあるものだけで理論を組み立てていきます。

『血肉となる読書』(あさま社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

違和感を抱いた部分、自分には受け入れがたいと感じた部分についても、間違いだと決めつけるのではなく、まずは「間違っているのは自分のほうじゃないか」と考えます。

マルクスと私の立ち位置を考えれば、大谷翔平と草野球の選手くらいに圧倒的な力の差があるのは明らか。であれば、おかしいと感じるのはマルクスが誤っているからではなく、自分が何かを見落としているからではないか、と疑うほうが妥当だと思うのです。

そして実際、経験上ほぼすべての場合において、間違っているのは自分のほうだったことがどこかで明らかになります。しかも、その違和感を抱いた部分がブレークスルーのポイントになることがほとんどなのです。

自分が違和感を抱いた一文にこそ、自分がとらわれている固定観念のせいで見落としていた何かを見るチャンスが隠れています。

だから、受け入れがたいと感じた部分こそ大事にしたい。すぐに「使えない」とあきらめてしまうのではなく、一度すべてを吞み込んで、その意味を考え続けてみることで、新しい発見に出会える――。これは研究のために本を読むときに限らず、すべての読書に言えることかもしれないと思います。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象