そのほかには限局性学習障害(SLD)などもありますが、本稿ではASDとADHDを中心に解説します。
ASD特性がある人は、強いこだわりや対人コミュニケーションの難しさを抱える場合がある一方で、高い集中力や論理的思考力といった強みを持つ傾向がみられます。ADHD特性がある人は、不注意や多動・衝動性といった特性がある一方で、創造性が高かったり、興味関心のある分野においては強い集中力を発揮したりする傾向がみられます。
こうした特性や強みを尊重し、組織や社会のなかで活かしていこうとする考え方がニューロダイバーシティです。
「発達障害がある人材」の可能性
発達障害がある人は、置かれる環境や業務内容によって、発揮できる成果が大きく変わるといわれています。適切な役割や環境が整えば、障害がない人と同等、あるいはそれ以上の成果を上げる可能性があります。
海外では10年以上前から発達障害がある人の可能性が注目されており、企業が環境を整備することで、多くの活躍事例が生まれています。
たとえば、アメリカの大手金融機関JPモルガン・チェースは250人、ドイツのIT企業のSAPは240人の発達障害がある人を採用しています。
JPモルガン・チェースでは、試行的に雇用した4人の生産性が既存の人材の約2倍だったことから、採用を拡大しました。こうした事例は、ソフトウェアの品質保証、AI開発、データ分析、サイバーセキュリティなど、特に高度な集中力や論理性が求められるIT領域で多くみられます。
これらの取組みは、単なるダイバーシティ推進や社会貢献を目的としたものではありません。多くの先進企業は、「多様で優秀な人材をいかに確保するか」という経営戦略の一環として、ニューロダイバーシティ採用を位置付けています。
たとえば、マイクロソフトは2015年からニューロダイバーシティ採用プログラムを展開し、「最高の人材を惹きつけること」を目的の1つに掲げています。
一方、日本でも発達障害がある人の高度な業務領域での活躍は、徐々に広がりつつあります。
たとえば、オムロンでは、2019年からニューロダイバーシティ採用を行っており、高度な画像解析技術を駆使する人材などが活躍しています。
