――なぜ、このような変化が起きているのでしょうか。
今回の調査は専門職の「実感の変化」を尋ねた調査であり、乳児の身体そのものを調べたものではないため、理由を断定することはできません。ただ、専門職のヒアリングからは複数の要因が推測できます。
1つは、胎児期からの影響です。助産師からは「母親の身体がガチガチに緊張しているケースがある」という証言がありました。母親の背筋力が以前の世代の4分の3以下になっているというデータもあり、両親の身体条件の変化や出産形態の変化に伴う負担などが、複雑に絡み合っていると考えられます。
――育児環境の変化についてはどうお考えですか。
現代の育児は、核家族化と地域コミュニティーの欠如により、親がデジタル情報に依存せざるを得ない構造になっています。かつては周囲のサポートの中で自然に体得できた「赤ちゃんを自分で観察しながら子育てする方法」を知る機会が、今の親にはほとんどないのです。実際、授乳、抱っこ、寝かしつける、あやすなどの基本の育児の仕方がわからず育児の困難や不安を伝える親が多いことはヒアリングでも確認されています。
その結果として、スマホのアプリが鳴ったから授乳するといった育児になってしまって「直感の喪失」が起きているのではないでしょうか。玉石混交の情報に数多く触れることで親の不安が増大し、それが養育行動の変化を呼び、ひいては赤ちゃんの発達に影響を及ぼしている可能性が考えられます。

