ところで筆者は先日、串カツ田中の人気メニュー「無限串」に関する記事を東洋経済オンラインに寄稿した。同店名物のチンチロや、専用ドリンクなどと組み合わせて訴求され、業績を牽引するほどのヒット商品になっている。
顧客心理を掴むのが上手い同社の戦略性は、ピソラにも通じるところであると感じられる(そういうブランドだからこそ、買収を決めたのかもしれない)。
87億円の期待に応えられるか
ユニシアHDが描く中期計画では、3年後の28年11月期末に600店舗体制、売上高480億円を目指している。現在67店舗のピソラが、その成長エンジンの一翼を担う。
87億円ののれんを正当化するには、ピソラが今後着実に店舗を増やし、収益を積み上げていくことが不可欠だ。第1四半期の数字は「事業自体は黒字」という意味で、悪い出発点ではない。
ただし課題もある。食べ放題など複数あるコースと単品のグランドメニューを擁するピソラは、「それぞれのお店でイチから仕込む」こだわりを強みとしている。
このブランド価値を、300店舗規模に拡大しながら維持できるかどうかは、まだ検証されていない。
それでも、実際に足を運んだ者の実感として言えることがある。「次はあの料理を」と思い浮かべながら店を後にした。再訪を確信させる店、それがピソラの最大の強みかもしれない。「遠方にある有名店まで足を運ぶまでもないけれど、大切な人と少し贅沢な食事を近所でしたい時に選びたいお店」だと感じた。
郊外ロードサイドの非日常空間が、全国300店舗に広がる日は来るのか。87億円の賭けの答えが出るのは、まだ先のことだ。
