自動車部品大手のデンソーは4月28日、ロームへの買収提案を取り下げたと発表した。TOB(株式公開買い付け)への期待からのガッカリ売りで、足元のローム株価は軟調に推移するが、半導体やファンドの業界関係者からは「こうなると予想していた」と見る向きが少なくなかった。
春の夜の夢のごとし……と平家物語の一節をつぶやきたくなるほど、あっけなく終わった巨額買収劇。だが、すべてがゼロリセットされたわけではなく、ロームには大きな難題が残されている。パワー半導体の事業統合計画だ。
買収防衛策ではなかったが…
デンソーがロームに対して買収提案を行っていると日本経済新聞に報じられたのは3月6日。しかしその翌週には畳み掛けるように、ロームが東芝とパワー半導体事業の統合交渉を進めていることが同紙に報じられた。
パワー半導体は電気自動車のモーター性能を左右する心臓部品であり、まさしくデンソーが買収提案をした理由の「宝の石」。そのパワー半導体事業をロームが他社と統合させるとなると、さながらクラウン・ジュエル(資産価値のある事業を切り離し、買収のメリットをなくす手法)である。
ロームはもともと「東芝とはずっと協議を続けており、東芝との協議がまとまらない状況でデンソーから買収提案があった」(東克己社長)というから、この事業統合は買収防衛策として模索したわけではない。ただ誰の目にも明らかになったのは、「ロームはデンソーに身売りするつもりはない」という事実だった。
事業統合の主役は「3社の外」
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