当連載では、産むか産まないか、どちらの選択をした人も生きやすい社会を目指しさまざまな事例や考え方を紹介してきた。しかしそもそも私たちは、前提となる性や性的関係について、ちゃんと知っていると言えるのだろうか?
何しろ、日本の学校では性交渉を含む包括的性教育が行われてこなかったからだ。2000年代の性教育バッシングの影響による「はどめ規定(*1)」も、「妊娠の経緯」について教えにくい状態にしている。また、文部科学省が3年前に始めた「生命の安全教育」も、目的は性暴力を防ぐことで、学校は肝心なことを教えていない。
*1:1998年度の学習指導要領で盛り込まれた。小5の理科で「人の受精に至る過程は取り扱わないものとする」、中1の保健体育で「妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」と記されている。
そこで今回は、包括的性教育の普及を目指し、中学・高校を中心に年間150件もの講演活動ほか多彩な活動を行うNPO法人ピルコンの染矢明日香理事長に、性を学ぶ現場の課題や展望について聞いた。
肝心なことを伝えきれないもどかしさ
ピルコンには、緊急避妊薬を薬局で買えるよう求めた政策提言で、今年2月の解禁に結びつけた実績がある。
ピルコンが学校から依頼される講演テーマは、活動を開始した2007年から法人化した13年頃までは避妊が中心だったが、次第に性感染症、性の多様性、性的同意など幅が広がってきた。最近は、「SNSや性情報とのかかわり方を教えてほしい」といった要望もあるそうだ。
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【保護者は「性行為まで教えて欲しい」と望む傾向が強い】
