しかし、はどめ規定の影響で語りにくい場合がしばしばあるという。
「『性行為』という言葉はダメだけど『性的接触』ならよいなど、使える表現に制約がある学校もあります。具体的にどうすれば、妊娠あるいは妊娠の予防につながるのかを伝えないまま語ることに、もどかしさを感じています」と染矢理事長は話す。
ただ、一部の中学校で、「制限なしに、伝えたいことを伝えてもらって大丈夫です」と言われることもあるそうだ。
一方で、保護者は性行為まで教えてほしい、と望む傾向が強いという。ピルコンは1月26日~2月2日、全国の10~60代の男女5000人を対象にインターネットアンケートを実施。すると、保護者の約8割が、中学校までに避妊や性的同意を含む幅広い性教育を行ってほしい、と望んでいることがわかった。また、保護者のうち45.5%は、妊娠・出産は小学校から教えることが適切、と考えている。
それは、保護者自身が受けた性教育に、不満が大きかったからではないだろうか。アンケートでも、保護者の3割弱は受けた性教育に不満がある、と回答した。自由回答では、「もっと踏み込んでほしかった」(47歳・女性)、「きちんと学校で性感染症や性暴力や同意について学んでいたら、その後のリスクも考えることができたと思うし、もっと自分を大切にできたのではないかと思う」(45歳・女性)といった声が上がっている。
保護者は、受けた性教育に満足と答えた人は11%しかいないが、若者は35.9%もいる。それは近年の教育内容改善に加え、性教育関連の書籍が次々と刊行されていることや、ピルコンのような外部団体が教える機会が増えた影響が考えられる。社会は変わりつつある。
教師も悩む…どう教えたらいいのか
教師も教え方に悩んでいる。染矢理事長は、「講演に立ち会った先生たちの声は、『勉強になりました』『私たちではできないことをやってもらえて、ありがたい』といった内容がほとんどです。教え方としては、まじめな話と、下ネタやセクハラの線引きが難しい。教えた後も関係が継続するので気まずい、といった声もあります」。
保護者も、「性教育は大事と思っているが、どう伝えればよいかわからない、自分の口からはなかなか言えない、というニーズが多い。だから性教育の書籍が売れるのかなと思います」と話す。
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