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0.5ミリ薄くすることに、どれほどの意味があるのか。
レノボ・ジャパンで執行役員副社長としてビジネス向けノートPC「ThinkPad」の開発を統括する塚本泰通氏は、ある時期からこの問いに向き合うようになった。CPUの厚さ、基板の厚さ、ディスプレイの厚さ。物理的に薄くできる限界が見えてきていた。
2026年4月に発表されたThinkPadの最新モデルには、「スペースフレーム」と呼ぶ新しい筐体構造が採用された。その背景にあったのは、薄さ競争とは異なる方向への発想転換だった。
電気設計のエンジニアからThinkPad開発の責任者へ
塚本氏がThinkPadの開発に加わったのは、まだIBMがThinkPadを作っていた時代だ。05年にIBMのPC事業は中国レノボに移管されたが、開発拠点は変わらなかった。IBM時代から続く大和研究所が、現在は横浜・みなとみらいに拠点を移しながら、ThinkPadの設計を一貫して担っている。塚本氏は電気設計のエンジニアとしてこの研究所に入り、回路図を書き、バッテリー駆動時間の改善に取り組んでいた。
「日本のものづくり力を生かして、世界中に使ってもらえるものを作りたかった」と塚本氏は振り返る。
IBMは柔軟な組織だった。やりたいことがあれば自分で周囲を説得し、部門をまたいでチームを組む。うまくいけばそれが正式な仕事になる。そうやって電気設計から基板設計の責任者、筐体設計の責任者へと領域を広げていった。その間にIBMからレノボへと経営母体は変わったが、開発の哲学は変わらなかった。
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【企業向けデバイス全体の開発責任者を務めている塚本氏】
