チームが出した答えは、キーボード設計そのものの統一だった。年間数千万台を出荷する中で、キーボードは複数のサプライヤーが製造している。これまでは細部の設計がサプライヤーごとに異なり、打鍵感にもバラつきがあった。エンジニアが差を埋める努力をしていたが、今回は大和研究所の設計にすべて統一した。
設計が同じだからこそ、打鍵音の低減とキーキャップの個別交換が実現できた。打鍵音は平均5〜10デシベル低減し、打鍵時の衝撃も最大50%減らした。オフィスのフリーアドレスやカフェで隣の人を気にせずタイピングできるレベルを目指した結果だ。
PCがあなたに合わせる
26年モデルのX1 Carbonには、1000万画素の超広角カメラが搭載された。大和研究所が主導して開発したカメラで、従来のUSB接続ではなく、スマートフォンで使われているMIPI (ミピー) 接続を採用している。
従来のUSB接続ではカメラの映像が圧縮されてから処理されていたが、スマートフォン用のMIPI接続を採用することで、生に近いデータをCPUに送り、AIによる高度な画像処理ができるようになった。ただし、コストがかかるため、現時点ではX1シリーズのみの採用にとどまっている。
高解像度のカメラを搭載した目的は、高画質な映像を送ることではない。ビデオ会議の映像はフルHDに圧縮されて送られるため、1000万画素をすべて使い切ることはない。狙いは広角で広く撮影し、AIが最適な部分を切り出すことにある。
ホテルのデスクや空港のラウンジでビデオ会議に入ると、PCの位置によっては顔が画面の隅に寄ったり、見切れたりすることがある。多くのユーザーはPCの角度を調整して対処するが、塚本氏はそこに問題意識を持っていた。
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【ThinkPadを象徴する「トラックポイント」】
