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ThinkPadはなぜ「薄さ」を追うのをやめたのか──0.5ミリ競争の先でレノボが選んだ次の価値軸

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ThinkPad X1 2-in-1 Gen 11 Aura Edition
ThinkPad X1 2-in-1 Gen 11 Aura Edition。2026年モデルは全10機種を展開する(写真:筆者撮影)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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カメラがユーザーの位置に合わせ、キーボードが周囲の環境に合わせる。この「PCがあなたに合わせる」という思想を、塚本氏は1台のPCの外にまで広げようとしている。

1台のPCから、複数デバイスの「ハブ」へ

ThinkPadの次の挑戦は何か。塚本氏が描くのは「1パーソナルAI、マルチプルデバイス」という構想だ。

スマートフォン、スマートウォッチ、ビデオ会議システム。1人のユーザーが使うデバイスは増え続けている。それぞれのデバイスがユーザーに関する情報を個別に持っているが、今はまだバラバラだ。これらの情報をAIが統合し、ユーザーの状況を理解したうえで一貫したサービスを提供する。その中心にPCが位置するという構想だ。

レノボは今年1月、パーソナルAIエージェント「Qira」(キラ)を発表している。PC、スマホ、スマートウォッチなど複数デバイスを横断して動作するエージェントで、レノボのアジア太平洋地域プレジデントであるアマール・バブ氏は「1つのパーソナルAI、複数のデバイスというビジョンが実現する」と語っていた。塚本氏が語るハブ構想を、ソフトウェアとして具現化したのがQiraだ。

ただし、塚本氏自身も「まだ取りかかり中」と認めているように、構想の実現はこれからだ。大和研究所では各チップベンダーと連携し、ローカルで動くAIモデルのチューニングや、日本語に特化したAIモデルの最適化に取り組んでいるが、ユーザーが恩恵を実感できる段階にはまだ距離がある。

ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Editionを手にする塚本氏(写真:筆者撮影)

34年間、ThinkPadは「お客様の生産性向上」という一つの軸を変えずに進化してきた。コンピューティングツールからコミュニケーションツールへ、そしてAI時代のデバイスハブへ。PCの役割が変わるたびに、ThinkPadは中身の設計を作り変えてきた。0.5ミリの薄型化よりも、壊れた端子を1つだけ交換できることのほうがユーザーの役に立つ。2026年モデルのスペースフレームはその判断の結果だが、次のAI構想が同じように形になるかどうかは、まだ見えていない。

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