末期がんや難病の高齢者の受け皿として、設置数が増えてきた「ホスピス住宅」。だが一部の事業者が、訪問看護によって不正・過剰に診療報酬を請求している疑いのあることが問題視されてきた。
ホスピス住宅の最大手で「医心館」を運営するアンビスホールディングス(HD)は共同通信の報道を受け、2025年3月に特別調査委員会を設置。4カ月に及ぶ調査を経て、同8月に調査報告書を公表した。その結果、「診療報酬請求の要件を満たしていなかった可能性が高い」とされた訪問看護が診療報酬に換算して約6300万円認定された。
一方、調査委員会が最終的に出した結論は、「多額の診療報酬を受けるために架空の事実をねつ造したような悪質な不正請求の事案とまでは認められない」というもの。この結論を受け、アンビスHDは「組織的な不正および不正請求の実態がないことが事実認定されました」と主張している(調査報告書の冒頭に添付された、アンビスHD側のリリース)。実態が認定されなかった訪問看護の多くは、あくまで記録ミスやエラーといった「誤謬」(同前)であったとしている。
柴原社長「私の考え方が現場に浸透せず」
アンビスHDの柴原慶一社長CEOは東洋経済の取材に対し、調査委員会から指摘された問題についてこう反省の弁を述べる。
「特別調査委員会からはさまざまな指摘があり、訪問看護の一部に実態が認定されないケースがあった。医心館の拠点数が拡大していく中で、私や会社の考え方が現場に十分に浸透していない側面があったと考えている。職員や関係者に不安や懸念を抱かせてしまったことを重く受け止め、深く反省している。現在は、運営管理体制の改善に全力で取り組んでいるところだ」
だが、話はここで終わりではない。調査委員会の調査対象期間において、医心館で調理・清掃スタッフ(医心館では「生活支援員」と呼ばれる)に1日複数件の複数名訪問看護のシフトが割り振られていたことはすでに報じた(【独自】複数名訪問看護の"不自然なシフト表"を入手、ホスピス住宅最大手アンビスHDの「医心館」で何が起きていたか)。東洋経済の取材では、シフトを組まれていた調理・清掃スタッフが実際に訪問看護業務をしたことはなく、シフトの存在すら知らされていなかったことがわかっている。
さらに、この複数名訪問看護に関して新たな疑問が生じている。
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