その次は、イタリアのウディーネ・ファーイースト映画祭に併設されている企画マーケット「フォーカス・アジア」に参加する際の渡航支援のための補助金を獲得しました。
そのマーケットは、アジアのフィルムメーカーとヨーロッパの映画制作会社や配給会社、セールスエージェントを引き合わせる場にもなっています。
――そこで、新たな出資パートナーに出会ったのですね。
渡邉:はい。ドイツの製作パートナーのプロデューサーとはそこで出会いました。彼はアルメニアの虐殺や民族浄化などについて問題意識を持っており、ロヒンギャの話題についても強い共感を示し、すぐに意気投合しました。
現地撮影などの制作段階では、独立行政法人日本芸術文化振興会が運営する製作支援の補助金を活用し、編集段階では映画祭のプログラマーやセールスエージェントなどからコンサルテーションが可能となる「First Cut Lab」を、完成後は海外プロモーション支援の補助金を受けました。
そして、編集や色調の調整、音声処理などの仕上げ費については、フランス国立映画映像センター(CNC)が主導する「シネマ・ドゥ・モンド(Aide aux cinémas du monde)」のポストプロダクション助成を活用しました。
そのおかげでフランスの優秀なスタッフに作品の仕上げを担当してもらうことができ、この助成金を勝ち取れたのは大きな成果でした。審査員たちの新しい才能を見つけ出そうという雰囲気にも助けられましたね。
助成金獲得は、フランスの共同プロデューサーのアンジェルがプレゼンテーションしてくれましたが、彼女とは22年にフランスの映画祭に参加した際に出会い、別作品で一緒に仕事をしました。仲間に加わってほしいと思って、脚本を渡したところ、すぐに参加したいと言ってくれました。

『僕の帰る場所』『海辺の彼女たち』では、数多くの映画祭に参加したのですが、その場で作品そのものや私たちの作品作りの姿勢にシンパシーを感じてくれた数多くのフィルムメーカーに出会い、友人になり、時にその人たちに意見を聞き、協力しながら企画と共に少しずつ前に進んでいったという感じです。
こういう人たちがいることを知るために見てほしい
――今回の作品の上映は「インパクト・プロダクション」という枠組みの下で展開されていますね。
藤元:「インパクト・プロダクション(社会的なテーマを扱い、社会に働きかけ、変革/インパクトをもたらすことを目的とした映画の製作・配給戦略)」という枠組みの中で、フランスではアムネスティ・インターナショナルや国連とも協力して上映しています。日本と同時期に上映が始まったフランスでは上映劇場が150館を超えました。
ロヒンギャのことは知らなくても、まずはこういう人たちがいる、ということを知るために見てほしいです。海外では、「どこの国の人かは関係なく、人間だったらわかることが描かれている」という感想をいただきました。たくさんの方々、特に若い方々に見てほしいと思っています。

