しかし古くなったからといって、すぐに建て替えができるわけではない。
建物全体を建て替えるためには、マンションの管理組合における総会決議で「5分の4」以上の同意が必要なのだ。26年の4月から法改正が行われ、耐震性不足や外壁剥落の恐れがなどがある場合は「4分の3以上」に要件が緩和されたが、それでも高いハードルであるのは間違いない。
「建て替え決議に至るまで、管理組合にはかなり長い道のりがある」と御手洗氏は語る。
「マンションの建て替え検討は、築20~30年前後ではまだ現実感もなく、早すぎます。築50年以上になると、今度は建て替えの反対派が『このままでも住める』と言うので議論が進まない。築40年後半くらいになると、『旧耐震基準のマンションだから、建て替えたほうがいいのか?』という疑問からスタートすることが多いですね」(御手洗氏)
多くの建物では、築50年前後くらいから「エレベーターが動かない」「水が出ない」「外壁タイルが剥がれ落ちて危ない」といった不具合が出てくる。いずれも数百万円~数千万円単位でのコストがかかる。
各種のトラブルを経て、「建て替えも必要では?」という議論に進むことになるという。しかし、「この合意形成は非常に難しい」(御手洗氏)のだ。
「賛成派」も一枚岩ではない
建て替えの検討に入っても、それぞれの立場によってスタンスが異なる。
「建て替えに賛成している方にも、情報共有するための手続きを進めることで各組合員の意向確認する機会が作れると信念をもって取り組んでいる方と、建て替えすることを押し通そうとする方に分かれます。
反対派は、建て替え派からすると疎ましい存在に思えますが、大別すると2つに分かれます。
よくわからないという方と、説明を聞いてくれない方。説明を聞いても、建物がどうなるかすぐに理解できない方には情報が不足しているので丁寧に説明することが大事。そもそも『説明を聞いてくれない』反対派の方は、ご家族の状況など個別の理由や主張を持つので、何が引っかかっているのかを知ることは大切です」(御手洗氏)
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【「できること」「できないこと」をしっかり検証することが必要】
