先輩(後輩)とわかりあえない
部活が終わった体育館で、俺はタオルで汗を拭きながら深く息を吐いた。
今日もまた、後輩のカイトが練習メニューに口を挟んできた。
「そのやり方、意味あります?」
少し挑発するような目で言われたとき、胸の奥に暗い感情が芽生えた。
――なんで言うこと聞いてくれないんだよ。
俺が1年生のころは、言われたことを黙ってやるタイプだった。
先輩が言えば走ったし、怒られても反論しなかった。
「そういうもんだ」と思ってきたからだ。
だからこそ、後輩が当然のように歯向かってくるのが理解できない。
俺らの代だけ、なんでこんなにやりにくいんだよ……。
わき上がってきた不満を振り払うように顔を上げると、視線が自然と顧問の先生へ向いた。
先生は少し離れたところで、腕を組んだままモップをかける後輩たちの姿をぼんやり見ている。
再び、心をモヤモヤが襲う。数分前の先生とのやり取りが引っかかっていた。
練習中に後輩に注意したら、先生は淡々と言った。
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【小さな積み重ねが、その人の「普通」や「当たり前」を作る】
