「最初は、社会的に正しそうな活動や、大人が褒めそうな実績に目が行きがちでした。でも、表を使ってメンバーと何時間も議論するうちに、『私たちが本当にすごいと思うのは、リスクをとってでも心がワクワクする挑戦をしている人だ』と気づいたんです」(別の委員)
こうして若者たちによって選ばれた受賞者たちは、リスクとワクワクという審査基準において突出している。例えば、ファッション部門で受賞したモデルのKAHOさん(高校3年生)は、前例も経験も、コネクションも無い中で、パリ・コレクションのモデルに応募し、出演を果たした。
平和部門で全体のグランプリも受賞した二ノ宮リム虹さんは、気候変動問題の解決に向けて、日本や世界の各地でデモ活動の前線に立ち続けてきたが、その根底にあるのは、自分と遠く離れた人びとの暮らしを想像し、連帯して動くことへの好奇心だった。
自分たちが「すごい」と思う人は、なぜ「すごい」のかを言語化し、選ばれた受賞者たち。それは、若者審査委員自身が、同じ若者として、心の内で、「自分も同じようになりたい」と憧れる対象でもあった。
経営の真髄とも重なる意思決定
「直感で発想・探索し、論理で検証・判断し、哲学で跳躍する」。これは、伊丹敬之・一橋大学名誉教授が言う「優れた経営者やリーダーが行う意思決定の真髄」だが、若者審査委員たちはこの高度な経営判断に値するほどの意思決定を行ったといえる。
30の候補者を選ぶときは、「なんだか面白そう」「この人はヤバいぞ」という直感を働かせながら、全国からくまなく候補者をリサーチ。
そこから、受賞者を選ぶときは、「進路選択の教室」で学んだ「進路選択表」を応用することで、明確な判断基準に基づいた論理的な意思決定を目指した。
そこから飛躍して生まれた「リスクとワクワク」という審査基準は、若者審査委員の哲学そのものだったのだ。
ゲストとしてアワードの様子を見守ったウスビ・サコ氏(東京都立大学理事・2025年日本国際博覧会副会長)も、最後の講話で若者たちの独自の視点と評価軸を高く評価した上で、「このアワードを、10年以上続けていきなさい」と、力強いアドバイスとエールを送った。

