立命館慶祥の高校生らが主体となって起こした今回のアクションは、同校の中学生のキャリア教育にも、思わぬ波及効果をもたらしている。
同校では、中3生のキャリア教育で「未来洞察」というプログラムを試験導入した。この授業で生徒は、高校に進学していきなり自分の将来を考える前に、まずは自分を取り巻く未来の社会について考える。
医学部に進学して、医師免許を取り、自らの病院を持つ……。例えばそんな固定的なイメージを持つ生徒の目の前には、「気候変動による体調不良専門の気候医師」「食べられるスマートデバイスで健康管理」「冷凍保存した遺体を未来で蘇生」など、未来で起こり得る変化の可能性が書かれたカードが200枚並べられる。
200通りの未来シナリオに、たった5時間の授業で触れることで、未来を想像する可動域を一気に広げることが狙いだ。
Awardの内容もさっそく教材に反映
この200枚の未来シナリオの中には、今回のRising Teenager Awardを受賞した同世代の活動に関するものも書かれていた。ここで重要なのは、単に「すごい若者」を大人が教材として並べているわけではない、という点である。教材化されているのは、高校生の先輩たちが、自分たちなりの哲学と判断基準で選び抜いたロールモデルたちだ。
つまり後輩たちは、「何を目指すべきか」という答えを上から与えられるのではなく、先輩たちが何にワクワクし、何をリスクとして引き受けるに値すると考えたのか、その判断の跡そのものに触れることになる。ここでもまた、探究の主語は大人ではなく若者である。
前半で見たように、これまでの探究の循環は、入試という評価のまなざしに子どもがさらされ、進学実績に責任を負う教員がその圧力を媒介し、子どもが大人に忖度していく、というものだった。だが今回のアワードは、その流れをひっくり返した。生徒が評価する側に立ち、そこで生まれた価値観が教材となって後輩へと受け継がれていく。
