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《祖父は諦め父は破産》それでも孫は"消滅寸前の布"を拾った「飯は食えない」と言われた遠州綿紬が1.3億円売れるまで

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時代遅れの遠州綿紬に新しい価値を見出した、ぬくもり工房の大高旭さん(写真:筆者撮影)

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いま、カセットテープの人気が再燃している。ファミコン、写ルンです、たまごっち……。かつて市場から消えたモノたちの人気が、再び戻ってきている。
ブームの牽引役は、全盛期を知らない世代だ。デジタルに飽きた彼らが、消費よりも所有や体験を求め始めた。時代に埋もれたものが、新しい価値を持って掘り起こされている。
今回取り上げるのも、そのひとつだ。静岡県浜松市でかつて織られていた「遠州綿紬(えんしゅうめんつむぎ)」。
ガチャンと1回機を織りゃ、1万、2万と手に入る――。「ガチャマン」と呼ばれた時代に、市政を動かすほど勢いがあった織物産業は、いつしか消滅寸前ビジネスとなった。
しかし、祖父が見放した布は、孫によって新たな価値を見いだされ、20年後に売り上げ1億3000万円を達成する。


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「この布はもう古い。これで飯を食えると思うなよ」

祖父にそう言われても、当時26歳だった大高旭(あさひ)さんはやめなかった。

繊維産業の全盛期と没落を知る祖父と、知らない孫。知らないからこそ、見えたものがあった。

ガチャマン―繊維産業の黄金期と没落

静岡県浜松市、JR浜松駅から車で30分ほどの閑静な住宅地に、有限会社ぬくもり工房の本店はある。

店内に入ると、中心にひときわ存在感を放つ鉄の塊が鎮座している。「鈴木織機製作所」と刻印された、100年以上前の織機だ。黒光りした鉄のボディと幾重にもかみ合う歯車が、産業の記憶をそのまま伝えている。

店内に鎮座する100年以上前の織機は、スズキの前身である鈴木織機製作所が製作(写真:筆者撮影)
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【農民に重宝されていた「遠州綿紬」】

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